本編上映終了後に、登壇したのは、堺雅人さん、福士誠治さん、八千草薫さん、佐々部監督、そして、原作者の浅田次郎さんです。

主演の堺雅人さんは撮影中の事について「みなさんのお芝居が素敵で、ある時はあっけに取られ、時には嫉妬（しっと）し、感動し、おろおろしているうちに物語がどんどん進んだ。監督の世界観の中で遊ばせていただいた。こういう役作りをした訳ではなく、現場にいるだけで、知らず知らずいろんな方から真柴（役名）の顔を引き出していただけた」

小泉役の福士さんは「頭の良い軍人役ということでしたが、現場で感じたもの、女学生たちや真柴さんの顔を見て、いただいたもの、素直な気持ちを大事にさせていただきました」

八千草薫さんは「客観的にできませんでした。後に洞くつを訪れるシーンは、今思い出しても涙が出ます」と声を震わせた。
また、被災地の光景と戦後の焼け野原が似ていることが、さらに作品への思いを強くしたようで「今、財宝があれば被災者の皆さんがどんなに潤うかと思います」と、被災者を気遣った。

佐々部監督からは、脚本を作り始めてから映画完成まで4年をかけたということを踏まえ「やっと世に出せるところまでたどり着けたなあと今日はその思いでいっぱいです」と感無量の面持ちで語り、「この原作をいつ映画にできるか分からないのに作品を預けてくださった浅田先生に感謝したい。恩返しするには、たくさんの方に見ていただくことだと思う」

浅田さんは「売れなくて足踏みしている時期に、初めて編集者に『好きなように書いていい』と言われて書いたのがこの作品。映画にしていただいてありがたく思う」と喜び「正直言って、もしかしたらこの1本しか書けないもしれないから、これが書けたら死んでもいい、と当時思ったのは確かです」

映画『日輪の遺産』は2011年8月27日全国公開です。