■ストーリー
ふたつの違う時代に生きる二人の女性が、今ひとつの物語を紡ぎはじめる
原爆投下から13年が経過した広島の街。そこに暮らす平野皆実(麻生久美子)は、会社の同僚・打越(吉沢悠)から愛を告白される。
しかし、彼女には家族の命を奪い、自分が生き残った被爆体験が深い心の傷になっていた。 その彼女の想いを打越は優しく包み込むが、
やがて皆実には原爆症の症状が現れ始める・・・。 それから半世紀後。現代の東京に暮らす皆実の弟・旭(堺正章)は、家族に黙って広島の旅に出る。
その父を心配する娘の七波(田中麗奈)は旭の後を追う内に、家族が背負ってきたものや自分自身のルーツに思いを馳せていく……。
『夕凪の街』
昭和33年の広島市街。原爆投下から10余年を経て、復興の進んだ街は活気を取り戻していた。
母親・フジミ(藤村志保)と二人でこの街のすむ平野皆実は、
ある日、皆実は会社の同僚・打越から愛の告白を受ける。しかし彼女は、原爆で死んだ妹・翠や父親のことが脳裏からはなれなかった。
「どこかで、お前の住む世界はそっちじゃないという声がする……。うちは、この世におってもええんじゃろうか?」。
自分が生き残ったことに負い目を感じ、幸せに飛び込んでいけない皆実を打越は、「生きとってくれて、ありがとうな」と優しく抱きしめるのだった。
ところが突然、皆実は身体に異変を感じ始める…。
『桜の国』
平成19年、夏の東京。石川七波は、最近父親の挙動が不審であることを心配していた。今夜も一人、自転車で出かけていく旭をつけてみると、彼は駅で切符を買い始める。
その姿を見ていた七波は小学時代の同級生・東子(中越典子)と久々に再会。二人が電車から長距離バスへと乗り換えた旭の後を追うと、目的地は広島だった。
七波は旭が広島で立ち寄る先や会う人々を遠目で見ていくうちに、亡くなった祖母・フジミや伯母・皆実へ思いをめぐらせる。
一方、東子は七波の弟・凪生(金井勇太)と付き合っていて、両親から被爆者の末裔であると凪生との関係を反対されていた。
自分のルーツと向き合う七波、原爆がもたらした真実を平和資料館で実感する東子。二人は、広島でかけがえのない瞬間を過ごしていく……。
■解説
広島のある 日本のある この世界を愛するすべての人へ
映画『夕凪の街 桜の国』は、平成16年度文化庁メディア芸術マンガ部門大賞・第9回手塚治虫文化賞新生賞を受賞した、こうの史代原作の同名漫画を完全実写映像化した作品です。ここには過去と現在の時代を背景に、二人の女性にスポットを当てたふたつの物語が描かれます。
ひとつは原爆投下から13年後の広島を舞台に、いつ原爆症が発病するかもしれない恐怖を抱えながら生きる女性・平野皆実(麻生久美子)が、同僚の打越(吉沢悠)から愛を打ち明けられたときに、幸せの一方で被爆した心の傷が再び痛み出していく『夕凪の街』
もうひとつの時代は現代。ある日、皆実の弟・旭(堺正章)が家族に内緒で東京から広島へと向い、娘の石川七波(田中麗奈)が彼の後をつけていくうちに、七波が自分の家族のルーツを見つめなおしていく『桜の国』。
皆実の忘れられない被爆体験と、父の行動から伯母の残した想いを知っていく七波という二人の女性を通して、家族愛、兄弟愛、男女の恋愛など様々な形の愛が映し出されます。そこから実感として浮かび上がるのは平和の尊さと、生きることの喜び。名もなき普通人である彼女たちの目線から、感動の人間ドラマが静かに紡ぎだされます。
監督は『半落ち』(04)、『四日間の奇蹟』(05)、『出口のない海』(06)など、これまでにも多くの情感溢れる秀作を生み出してきた佐々部清。主人公・石川七波には、デビュー作『がんばっていきまっしょい』(98)から昨年の『暗いところで待ち合わせ』まで、鮮烈な演技で注目を集めてきた若手実力派女優・田中麗奈。平野皆実を演じるのは、『カンゾー先生』(98)や『どろろ』(07)などの映画は勿論、TV「時効警察」でも好演を披露している麻生久美子。
他にも吉沢悠、中越典子といった個性派俳優が出演し、ベテランの藤村志保や堺正章も顔を揃えています。これらの俳優たちと、人間と家族の思いを見つめ続ける映像作家・佐々部清監督の手によって、今また切なくも温かい命の尊さを語りかける名編が誕生しました。
■原作
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こうの史代 「夕凪の街 桜の国」(双葉社刊) |
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■スタッフ |
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[ 監督・脚本 ] |
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佐々部清 |
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[ 脚本 ] |
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国井桂 |
[ 撮影 ] |
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坂江正明 |
[ 照明 ] |
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渡辺三雄 |
[ 美術 ] |
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若松孝市 |
[ 音楽 ] |
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村松崇継(作曲家 ピアニスト) |
[ ハープ演奏 ] |
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内田奈織 |
[ 企画プロデュース ] |
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加藤東司 |
[ プロデューサー ] |
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臼井正明 米山紳 |
■キャスト |
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石川七波 |
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田中麗奈 |
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平野皆実 |
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麻生久美子
「2007年 報知映画賞・主演女優賞」 |
打越豊 |
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吉沢悠 |
利根東子 |
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中越典子 |
石川旭(青年時代) |
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伊崎充則 |
石川凪生 |
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金井勇太 |
平野フジミ |
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藤村志保 |
石川旭 |
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堺正章 |
製作:
アートポート/セガ/住友商事/読売テレビ放送/東北新社/TOKYO FM/双葉社/東急レクリエーション/読売新聞大阪本社/ビッグショット/シネムーブ/広島テレビ/山口放送/福岡放送 |
支援:
文化庁/青少年映画審議会推選/日本映画ペンクラブ推薦/日本PTA全国評議会特別推薦/双葉社創立60周年記念事業/読売新聞大阪発刊55周年記念事業/読売テレビ開局50年企画映画/広島テレビ開局45周年記念映画 |
配給・宣伝:
アートポートArtPort WWW.artport.co.jp (C)2007 「夕凪の街 桜の国」製作委員会 |
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詳しくは映画『夕凪の街 桜の国』のオフィシャルサイトをご覧下さい。
http://www.yunagi-sakura.jp/ |
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